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戦車の思ひ出 [独り言]

三才から九才まで、福岡県の春日郡(現・春日市)という 米軍の基地の在る町に住んでいた。
郡民の住む町と基地との境目には大通りが通っていた。
その大通りをしばしば 戦車が走っていた。
我々郡民にとって戦車の通過は、町の日常の中の ちょっとしたイベントなのだった。

----遥か遠くから何とも形容のしがたい轟音が聞こえてくる。
と、町を歩く子供も大人も「あっ!戦車が来る!」と、その場に立ち止り 大通りを凝視するのだった。
徐々にその音は近づき、巨大な岩石の塊のような戦車が、地面を揺らしながら ゆっくりと登場するのである。
子供は「わぁー! センシャセンシャー!」と手を叩き、大人は「ホウ!」と圧倒されたふうに見上げる。
私の手を引いた祖母も腰をかがめ、「ぼんぼちちゃん、戦車見んしゃい、見んしゃいー」と、私の頬に頬を寄せた。
巨大な岩石は、この世にこれ以上大きく重く堅い物体はないと思わせずにはおれない姿を郡民に披露しつつ アスファルトを這った。

そして ゆき過ぎると、我々は再び いつもの日常の動きに戻るのだった。
買い物カゴを下げた婦人達は、「ここは基地があるおかげで 税金が安くて住みやすいけんねー」と ホクホク顔で声を上げていた。

他愛ない戦車の思ひ出である。

米軍基地.JPG

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